2024年の文化勲章にチェリスト、堤剛、文化功労者に作曲家、近藤譲、メゾ・ソプラノ、藤村実穂子が選ばれた。クラシック音楽の分野での文化勲章では、堤が山田耕筰、朝比奈隆、吉田秀和、小澤征爾に次いで5人目の受章者となった。
堤は桐朋学園で斎藤秀雄に師事、アメリカに留学、ヤーノシュ・シュタルケルに師事、助手も務めた。ミュンヒェン国際コンクールで2位、ブダペストのパブロ・カザルス国際チェロコンクールで優勝、世界的チェリストとして活躍、アメリカ、イリノイ大学、インディアナ大学で教鞭を取った。サントリー芸術財団代表理事、霧島国際音楽祭芸術監督、日本演奏連盟理事長を務め、日本楽壇の重鎮となっている。文化勲章は当然である。
近藤は東京芸術大学作曲家卒業後、アメリカに留学、カナダに招かれたり、ドイツではシュトックハウゼンの後任として、ケルン音楽大学で教鞭を取ったり、ドナウエッシンゲン音楽祭で講義を行ったり、ダーティントン国際夏期音楽学校の作曲クラスを担当するなど、世界的な活躍を見せた。国内でも、東京芸術大学はもとより、お茶の水女子大学では副学長も務めた。エリザベト音楽大学、昭和音楽大学で教鞭を取っている。世界的な作曲家として高く評価されたことが、文化功労者に選ばれた。
藤村は東京芸術大学大学院修了、ミュンヒェン国立音楽大学大学院を修了、欧米のオペラハウス、コンサートで活躍している。日本を代表する二期会、藤原歌劇団などにも所属せず、実力・演技力で高く評価された。ドイツ歌曲リサイタルを聴いた際、地に足がついた歌唱力・表現力を実感した。国際的な活躍を見せる歌手として、素晴らしい実績を築いてきたことが高く評価され、文化功労者となった。
楽壇の重鎮、堤が文化勲章を受章、国際的な活躍で評価された近藤・藤村が文化功労者となったことは、日本のクラシック音楽がさらに発展するための起爆剤になる。とはいえ、少子化・子どもの貧困が重なり、音楽の道を志す子どもが減りつつあることは残念である。こうした方々が次の世代を育てるために、できることからでもいいから、何らかの形で貢献していただくことを切望する。
コメントをお書きください