日本を代表する作曲家の一人、富田勲氏が5日、慢性心不全のため84歳で亡くなった。シンセサイザー奏者としても知られ「月の光」、「展覧会の絵」、「火の鳥」、「惑星」を取り上げた。また、NHKの番組テーマ音楽を数多く手掛け、その中でも「新日本紀行」のテーマ音楽の評価が高い。また、山田洋次監督の映画音楽、手塚治虫「ジャングル大帝」主題歌も担当している。
「新日本紀行」のテーマ音楽は今でも聴くと、日本の自然と人情への哀歓が感じられる。これだけ素晴らしいテーマ音楽はないだろう。また、「ジャングル大帝」主題歌は平野忠彦の声を生かした、優れた音楽だった。2012年、宮沢賢治に霊感を得た「イーハトーブ交響曲」を作曲し、創作意欲も衰えていなかったとはいえ、「つらい」と漏らすこともあったという。80歳を超えるとこういう言葉が出てきたことも頷ける。
しかし、自らの戦争体験、1945年1月に起こった三河地震を経験したことも手伝い、音楽を通じて自然といのちの本質を伝えようとする使命感もあった。音楽家でも戦争を体験した世代が次々とこの世を去っていく。こうした人々の思いをいかに継承していくかも問われている。
日本の作曲家たちも世代交代が進んでいるとはいえ、先人たちが体験した戦争体験をどのように受け継ぎ、伝えるか。これは大きな課題だろう。また、作曲家たちが自らの音楽をどう伝えるか。これは大きな問題だろう。
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