ペーター・レーゼル ピアノリサイタル

 ゲルハルト・オピッツとともに21世紀ドイツ・ピアノ界を代表する大御所、ペーター・レーゼルのリサイタル(紀尾井ホール)は前半がバッハ、イタリア協奏曲、BWV971、パルティータ第4番、BWV828、モーツァルト、ソナタ第18番、K.576、幻想曲、K.475、ソナタ第14番、K.457であった。

 バッハはイタリア協奏曲での歌心、イタリア的な明るさ、パルティータでの重量感、歌心が見事だった。また、組曲の性格付けも見事だった。

 モーツァルトではK.576、第1楽章ではトランペットを思わせる輝かしさ、対位法との絡み合いが見事だった。第2楽章の陰り、第3楽章の明るさが最後のソナタに相応しかった。幻想曲、K.475、ソナタ、K.457は一続きで演奏され、統一感も素晴らしかった。歌心と峻厳さが調和した、聴きごたえ十分な演奏だった。

 アンコールはバッハ、フランス組曲第5番からガヴォット、「主よ、人の望みよ、喜びよ」が演奏され、余韻たっぷりだった。

 11月にはゲルハルト・オピッツのシューマン、ブラームスシリーズがある。こちらも大いに期待したい。