グレン・グールド、マウリツィオ・ポリーニによるシェーンベルク、6つのピアノ曲、Op.19を聴き比べてみる。グールドは1964年1月2日、9日の録音。この年の4月、最後のリサイタルを開き、コンサートから引退した。全体的にストイックで、鋭さが目立つ。かなり直線的な解釈である。
ポリーニもストイックで鋭く、かなり直線的である。ただ、リサイタルでは鋭さが影を潜め、味わい深い演奏に変わっていた。神秘的な雰囲気も強い。
1909年の3つのピアノ曲で無調音楽を作り上げたシェーンベルクは、ここでは12音音楽を確立せんとして短い6つの楽曲の中で様々な試みを行っている。ピアノの響きも凝縮さている。それでも、調性音楽から完全に脱し切れていない面がある。とはいえ、Op.11、Op.19がピアニストたちのレパートリーとして定着していることは見逃せない。Op.23以降の作品はまだ、多くの聴衆には理解し難いだろうか。
コメントをお書きください