サントリー芸術財団サマー・フェスティバル、27日の佐藤紀雄がひらく「めぐりあう響き」、28日の第26回芥川作曲賞選考演奏会を聴く。
まず、「めぐりあう響き」はクロード・ヴィヴィエ(1948ー1983)「ジパング」、マイケル・トーキー(1961-)「アジャスタブル・レンチ」、武満徹(1930-1996)「群島S:21人の奏者のため」、リュック・フェラーリ(1929-2005)「ソシエテⅡ-そしてもしピアノが女体だったら」であった。ヴィヴィエは自宅で19歳の青年に殺されたカナダの作曲家、トーキーはアメリカ出身のマルチ型作曲家、フェラーリはドイツで活躍したフランスの作曲家である。
ヴィヴィエ「ジパング」は神秘的な作品、マルコ・ポーロが理想化した日本の雰囲気を伝えた。トーキー「アジャスタブル・レンチ」はアメリカ風のダイナミックな作品。武満はこの人ならではの神秘感が漂っていた。フェラーリ「ソシエテⅡ」はピアノ、打楽器がさく裂するかのようなダイナミズムを見せ、終わったと思えどまだ終わらないといった意外性が光った。アンコールは武満徹「波の盆」で静かに締めくくった。
第26回芥川作曲賞選考演奏会は2014年に芥川作曲賞を受賞した鈴木純明「テューバと管弦楽のための《1920》」が演奏され、1920年代のヨーロッパの雰囲気が伝わった。今回候補に挙がった作品は、渡辺裕紀子(1983-)「折られた...」、大場陽子(1975-)「ミツバチの棲む森」、大西義明(1981-)「トラムスパースⅡ~2群による18人の奏者のための」の3作であった。
今回は今までとは違い、作曲者のメッセージが感じられない作品ばかりだった。これまでの場合、聴いていて心に伝わってくるものが感じられる作品が受賞している。しかし、今回はどの作品も心に伝わるものがなかった。これが残念だった。結局、渡辺裕紀子が受賞した。
今回の選考演奏会では、作曲者のメッセージがない、伝わらなかったためか、心に伝わる作品に出会えなかったことが残念である。来年は心に響く作品に出会えることを願う。
(27日、28日 サントリーホール)
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