パーヴォ・ベルグルント ニールセン 交響曲第3番 Op.27「おおらかな交響曲」

 ニールセンの交響曲も音楽語法、個性も充実、鮮明になりつつある時期の作品でソプラノ、バリトン独唱が加わる。また、コペンバーゲンでの初演後、オランダ、アムステルダム、ドイツ、北欧でも演奏されるようになった。

 第1楽章では調性がはっきりせず、主題展開中心となる。主調ニ短調が確立していない。コーダになって、初めて主調ニ短調が出てきても、長調で終わる。第2楽章は牧歌風で、独唱がヴォカリーズで加わる。どこか暗さが漂う中、ヴォカリーズが加わると、ある種の安らぎを覚える。ここには生の息吹が伝わる。ここには声楽を取り入れたマーラーの影響が感じられる。第3楽章も牧歌風で、ほの暗さも漂う一方、生気溢れる表現も聴かれる。ここでも調性がはっきりしない。第4楽章は悦ばしい雰囲気が全体の中心となる。ニールセン自ら、

「労働や日々の生活における健康的な喜びの賛歌。」

と語るように、日々の生活への感謝に満ちた楽章であるといっても過言ではないだろう。

 ニールセンは第1番から第3番まで調性を記しても、調性感がはっきりしていない。第4番以降、調性を明記しなくなったことは、もはや調性は無意味だと考えるようになっただろう。ベルグルントはニールセンの様式面での変化も見事に捉えた演奏を聴かせている。