横山幸雄 ベートーヴェン ピアノ協奏曲全曲演奏会

 横山幸雄は5月にショパン全曲演奏会、9月にはベートーヴェンを中心としたコンサートを1日がかりで行っている。今年はベート―ヴェンのピアノ協奏曲全5曲を1日がかりで行った。

 共演したトリトン晴れた海のオーケストラは第一生命ホールを拠点とする室内オーケストラで、認定NPO法人トリトン・アーツ・ネットワークが2015年6月に設立した。これは紀尾井ホールを拠点とする紀尾井シンフォニエッタと並ぶ室内オーケストラとして注目すべき存在だろう。さらに指揮者を置かず、オーケストラにより自発的で研ぎ澄まされたアンサンブルも素晴らしい。

 第1番での意気軒高としたベートーヴェンの姿、第2番での品格ある響き、第3番での重厚、かつ充実した内容、第4番での古代ギリシアを思わせる高貴な響き、第5番の威厳、重厚さと堂々とした風格。横山はその性格付けを行いながら、見事にまとめた。何よりも、トリトン晴れた海のオーケストラが矢部達哉のもと、しっかりとまとまり、横山のピアノを支え、リードしながら、素晴らしいまとまりを見せた。

 このシリーズはベートーヴェン生誕250年の2020年まで続く。次回はどのようなプログラムになるだろうか。楽しみで

ある。