日本アルバン・ベルク協会例会として、21日の日本音楽学会東日本支部、特別例会でレナード・バーンスタインについて講演を行ったハーヴァード大学教授、キャロル・オジャ女史が第2次世界大戦中に活躍した日系人ダンサー、ソノ・オーサトをバーンスタインと関連付けて講演した。
アメリカでは日系人を強制収容所に送ったことは誤りだったことを認め、謝罪している。また、政治学者、朝河貫一にも戦争の影響があったという。ソノ・オーサトは秋田県出身のジャーナリストを父、フランス系カナダ人を母に生まれ、シカゴでバレエを学び、モンテカルロ・ロシア・バレエに入団して活躍、ニューヨーク・シティ・バレエ団で活躍した。ソノの父はシカゴで拘束され、1944年に釈放されたという。強制収容所もなくなった。
1940年、バーンスタインはミュージカル「オン・ザ・タウン」を作曲、上演した際、ソノを起用した。バーンスタインは音楽における人種差別撤廃を進めていたため、厳しい立場にあった日系人でありながら、ソノを起用した。ソノはその後、ブロードウェイ、バレエで活躍、戦後引退したという。
バーンスタインは「オン・ザ・タウン」ではフランス・モダニズム、チャイコフスキー風の要素を取り入れ、社会へのメッセージとした。作曲家バーンスタインは折衷主義を取り、社会性豊かな作品、パロディー性豊かな作品を生み出した。それこそ、アメリカ音楽の多様性ではなかろうか。社会に目を向け、行動してきた。こうした形でもレナード・バーンスタインを再評価することにつながる。その意義でも大きな成果があった。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:47)
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