1920年、シェーンベルクが12音技法を確立した作品で、第1曲、第2曲が1920年、全曲は1923年に完成した。初演はエドァトルト・シュトイアーマンが行った。
グレン・グールドは1964年~1965年にかけての録音。12音技法への鋭い感性が伝わる。時折、グールドのハミングが聴こえる。レコ―ティング中心となり、さらに意欲的にシェーンベルクに取り組んでいる。
マウリツィオ・ポリーニは全体的にグールドよりテンポが速めである。ポリーニの方がかなり、シェーンベルクの音楽の本質を理解しているような気がする。それがかえって、音楽の鋭さを明確にしている。
グールドは20世紀初頭の空気が漂っている。ポリーニは完全に20世紀後半、前衛音楽の空気が漂い、神秘性が強くなっている。最も、グールドは講演、ラジオ番組でシェーンベルクの音楽について語り、著書にもなっている。ポリーニも自ら演奏しながら、ルネサンス期から20世紀に至る音楽史プロジェクト・コンサートシリーズも行っている。日本でも何度か行い、評価も高い。どちらも実践・理論を一致させる試みを行い、私たちに音楽を問いかけている。
ただ、グールドはコンサートを捨て、レコーディング・放送・執筆活動に専念、1982年、50歳でこの世を去った。その生涯で本当に残したものは何だったか。
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