今や巨匠と言うべき深澤亮子のリサイタルは、前半に助川敏弥の作品、後半に夭折の名ピアニストで作曲かでもあったディヌ・リパッティ、モーツァルト、メンデルスゾーンによるプログラムであった。(浜離宮朝日ホール)
まず、助川作品。「ちいさな四季」からの小品は、ピアノの明晰な音色から四季折々の風景が伝わった。
「花の舞」、「松雪草」の絶妙な音色、「山水図」の幽玄な世界は素晴らしい。
リパッティ「夜想曲」Op.6は、作曲家としても素晴らしい才能の持ち主だったことを伺わせた。2017年で生誕100年を迎えたとはいえ、白血病のため33歳で亡くなったことは惜しまれる。聴き応え十分な作品であった。モーツァルト、ソナタ、K.330は深澤にとって自家薬籠中のレパートリーとはいえ、乱れがあったことは残念だった。メンデルスゾーン、厳格な変奏曲、Op.54は名演で、一つ一つの変奏の性格を自らのものにしていた。
アンコールは助川作品から連弾のための「風の踊り」、メンデルスゾーン、無言歌、Op.62-1「5月のそよ風」、Op.62-6「春の歌」、どちらもメメンデルスゾーンよる連弾用の編曲で、東浦明子が第2ピアノパートを担当、聴きものだった。独奏で、「ちいさな四季」から「糸かけ糸かけ 糸かがり」であった。
来年80歳を迎える深澤のソロ・リサイタルは、今後どうなるか。日本のピアノ界を支えた巨匠ピアニストの活躍を祈りたい。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:52)
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