カルロス・クライバー(1930-2004)。名指揮者エーリッヒ・クライバー(1890-1956)を父にベルリンに生まれた。20世紀後半のドイツ・オーストリアの指揮者では奇才と謳われ、レコーディングはライヴを含め、少ないとはいえ、どれもが名演ぞろいである。
ベートーヴェンではこの第4番をはじめ、第5番、Op.67、第6番、Op.68「田園」、第7番、Op.92をライヴを含め、残っている。1986年5月10日、東京文化会館でのバイエルン国立管弦楽団とのコンサートは第4番、第7番、アンコールはヨハン・シュトラウス、ポルカ「雷鳴と電光」を取り上げた。開演、クライバー入場と共に「ブラヴォー」が飛び交うほどで、演奏を心待ちにしている聴衆の様子が窺えた。
これは1982年5月3日、ミュンヒェンでのカール・ベーム(1894-1981)追悼演奏会のライヴである。第1楽章は序奏の暗さ、主部の勢いの対比が明確で、ベートーヴェンの音楽の高貴さが際立つ。第2楽章は優雅な歌心に満ちている。その一方、甘さのない、芯の通った音楽が全体を貫いている。第3楽章のスケルツォ主部とトリオの対比、ロンド風構成がかえって際立っている。第4楽章の勢いも素晴らしい。
1986年の演奏はこれよりも凄みのある内容で、歌心・ベートーヴェンの音楽の高貴さをしっかり伝えていた。指揮棒を振り回し、オーケストラを引っ張っていく指揮ぶりには音楽の凄みが伝わって来る。今でも忘れがたい。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:52)
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