歌舞伎座6月公演、昼の部は「名月八幡祭」、「浮世風呂」、「御所桜堀川夜討」より「弁慶上使」の3本であった。
「名月八幡祭」は市川笑也が素晴らしい女形役者として成長した姿を見せた。芸者美代吉の奔放さ、艶のある美しさを見事に演じた。この美代吉に一途な思いを寄せる新助を演じた尾上松緑、美代吉と恋仲で評判の悪い船頭、三次を演じた市川猿之助の演技が光った。魚惣を演じた市川猿弥の味わい深い演技が全体を引き締め、素晴らしい舞台に仕上げた。
「浮世風呂」での市川猿之助の素晴らしい踊り、女のなめくじを演じた中村種之助の艶かしさが見事だった。
「御所桜堀川夜討」から「弁慶上使」は、中村吉右衛門の弁慶が実の娘を手にかけざるを得なかった父親の悲しみ、つらさを見事に演じた。実の娘しのぶを演じた中村米吉、母親で弁慶が一夜を共にしたおわさを演じた中村雀右衛門が母娘の悲劇を見事に描き出した。義経の家臣、侍従太郎を演じた中村又五郎の素晴らしい演技がこの悲劇を感銘深いものにした。
上演記録を見ると、「御所桜堀川夜討」は全編上演がない。今後の全編上演を望みたい。
全体として、演目のバランスが十分で、終演が午後3時25分。夜の部へのゆとりも十分だった。
コメントをお書きください
admin (木曜日, 21 4月 2022 05:52)
1