シュテファン・ザンデルリンク ハンブルク交響楽団


 20世紀ドイツの名匠クルト・ザンデルリンクの次男、シュテファンがハンブルク交響楽団と共に来日、ブラームスの交響曲第4番、Op.98、第1番、Op.68によるブラームスプログラムを取り上げた。(4日 武蔵野市文化会館)

 第4番は晩年のブラームスの寂しさ、侘しさ、皮肉さ、バロックへの思いが調和、渋みも伝わった。たっぷりと情感豊かに歌われると、かえってブラームスの思いが心に響いて来た。

第1番は成立まで21年かかったブラームスの思いがどっしりとした響きで圧倒した。第2楽章のロマン、歌心は見事だった。第4楽章で序奏の最後に現れるホルンの響きは、ブラームスがクラーラ・シューマンへ送った手紙のように冴えわたっていた。金管のコラールも聴きものだった。

 アンコールはモーツァルト、オペラ「フィガロの結婚」K.429、序曲。締めくくりに相応しかった。武蔵野市の文化事業財団主催とはいえ、これだけ素晴らしいコンサートを企画、実行していることは北とぴあ国際音楽祭を行っている北区とともに、その実績は素晴らしい。5日がピアニスト、イングリット・フジ子・ヘミングとの共演のみでは気の毒だろう。その意味で、武蔵野市の企画は大きく評価したい。