シェーンベルク、ピアノ組曲、Op.25はバロック組曲の形式を12音技法で20世紀によみがえらせた作品で、12音技法を確立したシェーンベルクの自信に満ち溢れた姿が伝わる。1921年~1923年の2年間にわたって作曲している。
まず、グレン・グールド。彼自身のハミングが聴こえてくる。あっという間のプレリュード、ガヴォット-ミュゼット-ガヴォットは全体で8分余りの演奏時間とはいえ、かえってシェーンベルクの音楽の本質に迫っている。インテルメッツォはじっくり演奏している。メヌエットは神秘的な雰囲気が漂う。ジーグは神秘的な舞曲となって、全曲を締めくくる。
次はマウリツィオ・ポリーニ。完全に20世紀音楽の世界である。プレリュードもあっという間である。ガヴォット-ミュゼット-ガヴォットはグールドと異なり、全体は3分余りとなっている。舞曲の性格付けはポリーニの方だろうか。インテルメッツォはグールドより遅めで、歌心を大切にしている。メヌエットは20世紀音楽に解体された姿を示している。ジーグは鋭く、果敢である。
グールドはシェーンベルクとブラームスの繋がりを強調している。ポリーニは完全に20世紀音楽の視点に立つ。両者の決定的な違いだろう。
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藤田 伊織 (水曜日, 16 8月 2017 05:36)
シェーンベルグのOp.19の「6つのピアノの小品」も美しく、楽しいです。カンディンスキーとのコラボをしてみました。
http://www.geocities.jp/imyfujita/air/iair.html
畑山千恵子 (水曜日, 16 8月 2017 09:24)
そうですか。ありがとうございました。
admin (木曜日, 21 4月 2022 05:51)
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