ルネッサンスとバロックの橋渡し役を果たしたイタリアの作曲家、クラウディオ・モンテヴェルディ(1547-1643)生誕450年記念として、バッハ・コレギウム・ジャパンがモンデヴェルディの傑作一つ「聖母マリアの夕べの祈り」を取り上げた。これは1993年、モンテヴェルディ没後350年記念の際、上野の石橋メモリアルホールでの上演以来、24年ぶりの再演となる。
鈴木雅明の解釈が深みを増し、素晴らしい音楽となった。今回のコンサートマスターは北とぴあ国際音楽祭でのバロック・オペラ上演で定評ある寺神戸亮である。若松夏美をはじめとした名手たちが見事なまとまりを見せ、コンツェルト・パラディーノの好演も華を添えた。
ソリストではテノールの桜田亮、谷口洋介が傑出していた。ソプラノのソフィ・ユンカー、松井亜希も好演だった。カウンター・テノールの青木洋也、バスの加未徹、その他何人か印象に残った歌手たちもいる。
モンテヴェルディはルネッサンスのマドリガーレから出発、これをバロック様式へと発展、バロックが生んだジャンル、オペラを確立した。「聖母マリアの夕べの祈り」はバロックの宗教音楽におけるコンツェルタンテ様式を確立した。従来の楽曲様式から新しいものを生み出し、新しいジャンルを確立した背景には、保守派の理論家アルトゥージとの論争もある。旧来の様式から新しい様式を生み出す。そこにモンテヴェルディの偉大さがある。
いよいよ、11月には鈴木優人によるオペラ「ポッペアの戴冠」(セミ・オペラ形式)が控えている。どんなポッペアを見せるだろうか、大いに期待したい。
コメントをお書きください
admin (木曜日, 21 4月 2022 05:51)
1