ヴァレリー・アファナシエフのピアノリサイタル、会場を紀尾井ホールに移して、ベートーヴェン、ソナタ第7番、Op.10-3、第17番、Op.31-2「テンペスト」、ショパン、ノクターン第1番、Op.9-1、第7番、Op.27-1、第8番、Op.27-2、第9番、Op.32-1、第19番、遺作、Op.72-1であった。
リサイタル全体がアファナシエフの世界であった。一見奇異に見えても、音楽の本質を捉えた演奏で、聴き手の心をしっかり掴んでいる。ベートーヴェンでは、「テンペスト」第1楽章、再現部のレチタティーヴォでは奇をてらったかのように見えても、絶望の淵からの叫び声のような強烈な印象を残していく。かえって音楽の本質が見えてくる。
ショパンはじっくり歌い込みつつ、ノクターンの本質に迫っている。音色も素晴らしい。全体に遅めのテンポを取っていた。アンコールでのマズルカ、Op.67-4、Op.68-2もテンポは遅めとはいえ、じっくりといつくしむかのような演奏で、聴き応え十分だった。
来年は佐渡裕とブラームス、ピアノ協奏曲第2番、Op.83を共演するという。どんな演奏になるだろうか。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:51)
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