桐朋学園大学からシュツットガルト、ヴィーンに留学、作曲家としても活躍、福祉施設、病院、養護施設、ホスピス、少年院などでもコンサートを開き、社会活動にも力を入れる福田直樹が紀尾井ホールでデコビュー30周年記念リサイタルを開いた。
バッハ、平均律クラヴィーア曲集第1巻から、第1番、BWV846、第2番、BWV847、第15番、BWV860、第16番、BWV861、第23番、BWV868、第24番、BWV869、シューマン、クライスレリアーナ、Op.16によるドイツ音楽中心のすっきりした構成であった。
バッハでは地味ながら、心から湧き上がる歌心、ポリフォニーの厳格さが調和した音楽作りは見事。真摯な姿勢が伝わった。シューマンでは作品の本質を捉えた、素晴らしい演奏で、楽長クライスラーとシューマンとが一体化していた。尤も、シューマンはクライスラーの中に自分の運命を見て取っていたと言えよう。そこまでしっかり見抜いていた。
アンコールはシューマン、子どもの情景、Op.15から第7曲「トロイメライ」、ショパン、英雄ポロネーズ、Op.53、ドビュッシー、ベルガマスク組曲から第3曲「月の光」を演奏、締めくくりとした。
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