北とぴあ国際音楽祭のメイン、寺神戸亮、レ・ボレアードによるオペラは、クリストフ・ヴィリバルド・グルック「オルフェオとエウリディーチェ」を取り上げた。(8日 北とぴあ さくらホール)
グルックがイタリアの詩人、カルツァビージと共に音楽・ドラマ中心のオペラ改革に着手した作品、日本のオペラ上演史では重要な作品である。1903年、三浦環が初めてオペラの舞台に立ち、日本でのオペラ公演の始まりとなった。
18世紀前半のオペラはカストラートによる声のアクロバットと化し、音楽・ドラマは二の次となった。ニコラ・ポルポラ、トマーゾ・ヨンメッリが音楽・ドラマ中心のオペラ創作を進め、グルックへと受け継がれた。それがモーツァルトにつながり、素晴らしい傑作オペラを残すこととなった。
寺神戸はパリ版を用い、ギリシア神話に基づく「オルフェウス」の世界を見事に表現していた。ラ・ダンス・コントラステのバレエはドラマに忠実に、オペラの世界を描きだした。
オルフェオのマティアス・ヴィダル、エウリディーチェのストゥキン・エルベルスの素晴らしい歌唱、演技が観客の心に深い感動をもたらした。むしろ、鈴木美紀子のアムールが全体を引き締め、オペラの要となったことを評価したい。合唱も見事な歌唱力で、オペラ全体を主導した功績は大きい。
来年はモンテヴェルディ晩年の名作「ウリッセの帰郷」を取り上げる。どんな舞台になるかが楽しみである。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:51)
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