新春恒例のNHKニューイヤー・オペラコンサートは第61回目を迎え、時代を代表する歌手たちがオペラの名アリア、場面を披露して、オペラ界の1年を占うコンサートとして定着してきた。今回はモーツァルトのオペラのアリア、重唱を構成したモーツァルト・ファンタジー、没後150年を迎えたイタリアの大作曲家ジョアッキーノ・ロッシーニ、ヴェルディ「椿姫」、「ドン・カルロ」、「イル・トロヴァトーレ」、プッチーニ「ラ・ボエーム」、「トスカ」、ヴァーグナー「ニュールンベルクのマイスタージンガー」からのアリア、場面を取り上げ、冒頭にヴァーグナー「タンホイザー」の「歌の殿堂を讃えん」、締めくくりにヨハン・シュトラウス2世「こうもり」のフィナーレとした構成による内容であった。(3日
NHKホール)
モーツァルト・ファンタジーは「イドメネオ」、「後宮からの誘拐」、「フィガロの結婚」、「ドン・ジョヴァンニ」、「コジ・ファン・トゥッテ」、「魔笛」、「皇帝ティトゥスの慈悲」のアリア、重唱、合唱を組み合わせたもので、聴き応えあるものとなった。砂川涼子、嘉目真木子、林美智子、櫻田亮、黒田博の見事な歌いぶりが光る。
ロッシーニでは「猫の二重唱」での市原愛、小林沙羅、「フィレンチェの花売り娘」での幸田浩子、「踊り」の村上敏明「タンクレーディ」の藤木大地の見事な歌いぶりから、ロッシーニの本質は歌にあることを改めて示した。
ヴェルディ「椿姫」の「乾杯の歌」の華やかさ、「さらば、過ぎし日よ」での中村恵理の迫真に満ちた歌とのコントラストが素晴らしい。「ドン・カルロ」では清水華澄と合唱が見事に調和していた。「ああ、わが恋人」、「見よ、恐ろしい火」での笛田博昭の素晴らしい歌唱が華を添えた。
プッチーニ「ラ・ボエーム」では村上敏明、上江隼人のやり取り、「トスカ」での大村博美の見事な歌唱はトスカそのものだった。
ヴァーグナー「ニュールンベルクのマイスタージンガー」は、福井敬の「朝はバラ色に輝き」での絶品の歌いぶり、妻屋秀和の堂々たる歌唱は見事で、ぜひ、このキャストで「ニュールンベルクのマイスタージンガー」を上演してほしいと切望する。
「こうもり」のフィナーレは日本語訳での歌唱とはいえ、コンサートの締めくくりに相応しかった。
2018年のオペラ界、どんなオペラが話題となり、歌手たちの活躍も楽しみである。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:51)
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