歌舞伎座2月公演は、1月に引き続き、高麗屋3代襲名披露公演で「春駒祝高麗」、「一条大蔵卿」、「暫」、「井伊大老」の4本を取り上げた。
「春駒祝高麗」は曽我兄弟の仇討を基にしたもの。中村錦之助、中村芝翫が素晴らしい。「一条大蔵卿」は松本幸四郎の「作り阿保」、勇壮な武将ぶりが見事だった。尾上松緑、片岡孝太郎の吉岡夫婦、中村歌六の悪家老、家老の妻を演じた片岡秀太郎、常盤御前の中村時蔵が素晴らしい舞台を見せた。
「暫」は市川海老蔵の独断場だった。最後の「井伊大老」、1860年3月3日、江戸城桜田門前で水戸浪士の刃に倒れている。その前日、3月2日の井伊を描いた名作。市川高麗蔵の正室昌子、中村梅玉の長野主膳が光る。中村雀右衛門のお静の方、中村歌六の仙英が翌日の悲劇を暗示するかのような、素晴らしい演技を見せた。圧巻は中村吉右衛門の井伊直弼である。自ら、翌日の死を悟ったか、お静の方と添い遂げたい思い、来世は大老になりたくないと語る場面から伺えた。
上演時間のバランスも良く、見ごたえ十分だった。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:50)
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