東京二期会、ヴァーグナー「ローエングリン」は福井敬がタイトルロール、エルザが林正子、フリードリッヒ・フォン・テルラムントには大沼徹、その妻オルトルートには中村真紀、国王ハインリッヒ一世が小鉄和弘、伝令が友清崇、ブラバントの貴族は吉田連、鹿野浩史、勝村大城、清水宏樹によるキャストであった。
小鉄和弘、友清崇の重厚な歌唱、大沼徹、中村真紀の悪役ならではの性格描写の素晴らしさ。その上に福井敬、林正子の清純、かつ高貴な歌唱が光った。中村は古代ゲルマンの神々を捨てて、キリスト教に改宗したドイツ人たちを許せない心情が見事だった。
何よりも準・メルクルが東京都交響楽団から素晴らしいヴァーグナーの音を作り出し、オペラ全体を盛り上げたことが大きい。また、冒頭にヴァーグナーのよき後援者、ルートヴィッヒ2世の言葉「すべては謎」、その肖像画が出て来たことがオペラ全体のライトモティーフとなった。
1849年、ヴァーグナーは革命に加わって亡命、「ニーベルンゲンの指環」の筆を進める。
「トリスタンとイゾルデ」、「ニュールンベルクのマイスタージンガー」を経て全4部作を完成、「パルジファル」で締めくくった。その意味でも重要な作品たる意味づけは大きいだろう。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:50)
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