歌舞伎座4月公演、夜の部は「絵本合法衛」、片岡仁左衛門一世一代による上演であった。1992年3月、片岡孝夫の頃から演じ続けた左枝大学之助、立場の太平次の2役を今回で最後にしたいとのこと、演技に力がこもっていた。高橋瀬座衛門、高橋弥十郎を演じた坂東弥十郎、うんざりお松、皐月を演じた中村時蔵もこれに応じ、素晴らしい舞台を見せた。中村錦之助、片岡孝太郎、市村萬次郎、片岡松之助も光る。
お家乗っ取りをテーマにした鶴屋南北の名作は1656年、加賀前田家の御家騒動がもとになっている。1804年初演、幕末まで上演され続けたものの、明治期に入ると上演が少なくなり、1965年、初代松本白鷗による復活上演をはじめ、1980年、現松本白鷗が手掛け、1992以降、片岡仁左衛門が5度にわたって手掛けている。新橋演舞場、国立劇場での2度にわたる上演、大阪松竹座での上演で、歌舞伎座では初めてとなる。仁左衛門自身、これで打ち止めという意味で歌舞伎座での上演となったことは淋しい。しかし、千秋楽となるとカーテンコールとなり、スタンディング・オベーションとなったことは大きい。
今後、歌舞伎座でも上演回数の少ない演目をどんどん取り上げてほしい。国立劇場だけの役割ではないはずである。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:50)
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