ゲルハルト・オピッツと共にドイツ・ピアノ界を代表する大御所、ペーター・レーゼルのリサイタルはモーツァルト、ソナタ第13番、K.333、ドビュッシー「版画」「子どもの領分」、フランク「コラール、プレリュードとフーガ」によるプログラムであった。(8日 紀尾井ホール)
モーツァルトの風格、気品、歌心溢れる演奏からフランス印象主義、ドビュッシーに入ると、私たちがこれまで耳にしていたフランス音楽の演奏とは異なった、独自の味わい豊かな演奏であった。「版画」では色彩感を大切にしながら、一本の線を貫いていた上、「子どもの領分」でもユーモア、色彩感を大切にしながら独自の世界を築いていた。フランクも全体を貫く一本の線を重視した名演だった。
アンコールはモーツァルト、ソナタ第11番から第3楽章「トルコ行進曲」、ドビュッシー「ベルガマスク組曲」より「月の光」で、「月の光」は深い余韻が残った。
次回こそブラームス、ピアノ作品全曲演奏シリーズが実現してほしい。その折、ゲルハルト・オピッツとの共演による2台ピアノによるコンサートも聴きたい。
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