ドイツのピアニスト、マティアス・キルシュネライト(1962-)のメンデルスゾーン、無言歌集のCDから第2巻、Op.30を聴く。これはフェリックスの姉ファニー・ヘンゼルの無言歌集もあり、姉弟の作品の全体像を知るには貴重で、
フェリックスの作品中、ファニーの作品ではないかとされるものもある。
第1曲「瞑想」から流れ出る豊かな歌、第2曲「不安」には揺れ動く心から安どの様子を描く。第3曲「慰め」は1ページだけとはいえ、深々とした歌が聴こえる。讃美歌にもなったほどである。第4曲「さすらい人」は孤独な面影が伝わる。第5曲「小川」はせせらぎ、のどかな田園風景が浮んで来る。第6曲「ヴェネツィアのゴンドラの歌」はOp.19-6、Op.62-5と共にメンデルスゾーンが名付けている。この作品がもっとも知られ、演奏されていると言えようか。トリルがもの悲しさを引き立てている。
21世紀のドイツ・ピアノ界はペーター・レーゼル、ゲルハルト・オピッツを中心にクリスティアン・ツァハリアス、ゲオルク・フリードリッヒ・シェンク、ミヒャエル・コルシュティク、ミヒャエル・リシェ、ミヒャエル・エンドレス、このキルシュネライトが続く。キルシュネライトもモーツァルトの協奏曲全集をはじめ、メンデルスゾーン、シューマンで注目すべきCDをリリースしている。キルシュネライトももっと注目すべきピアニストではなかろうか。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:50)
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