生誕120年 近衛秀麿 再発見

 「日本のオーケストラの父」近衛秀麿の生誕120年に因み、近衛の生涯、演奏活動、創作・編曲活動を取り上げ、近衛秀麿の業績をシンポジウム、トーク・コンサートで再評価する試みが明治学院大学、近衛音楽研究所、日本音楽学会東日本支部、日本アルバン・ベルク協会の共催で行われた。

 近衛の生涯に就て、NHK-BSプレミアムで放送されたユダヤ人音楽家救済活動は記憶に新しい。菅野冬樹がNHK出版から「戦火のマエストロ 近衛秀麿」、東京堂出版から「近衛秀麿 亡命オーケストラの真実」を出版、これを裏付けている。また、音楽家たちの手形を集めている。

 近衛のオーケストラ編曲については雅楽の編曲が有名で、「越天楽」は素晴らしい。これらの編曲版を21世紀の今、もう一度耳にする機会が訪れることを祈りたい。また、ベートーヴェンの交響曲などでスコアに手を入れたり、改変して、素晴らしい効果を上げられるようにしたことは、当時の日本のオーケストラのレヴェルが低かったこともあっただろう。今、日本のオーケストラの質も向上している以上、どうだろう。

 近衛の創作活動では、声楽曲が中心で、いくつかの歌曲、1928年の昭和天皇即位の大礼に際して作曲した「大礼カンタータ」から第4楽章がピアノ3重奏版で演奏され、聴きものだった。

 近衛の演奏論にも注目したい。身体の自然な動きを重んじ、表情豊かな表現にとんだものだったという。シューマン「トロイメライ」を近衛の孫、水谷川優子のチェロで演奏された際、シューマンの音楽の本質に添った、素晴らしい内容だったことからも覗える。

 近衛が始めてベルリンに行った際、久野久子に会ったこと、1925年、久野が自殺した際の葬儀にも参列したという。この件についても、ご親族から伺ってみたい。

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コメント: 1
  • #1

    北村登美子 (日曜日, 29 7月 2018 16:57)

    確か小学校3.4年生頃 日本女子大学付属豊明小学校時代に 成瀬記念講堂にて 演奏会が行われ
    我々小学生も 聴く機会に恵まれました。 自分は亡父が収集していたspレコードのせいで 幼少から
    オーケストラを始め ピアノ曲 声楽曲を 友人代わりにしていたことから 生演奏には とても感動しました。子供にも解りやすい 軽騎兵序曲 ウィリアムテル序曲  声楽家の女子大卒業生でもあった 長門美保さんによる マダムバタフライの アリア等の演奏もあり 子供心に 感動いたしました。
    戦後10年位後だったと思われます。  久野久子氏は 其のお墓が 亡き父と同じ伝通院にあり 良く存じております。