サントリー音楽財団、サマーフェスティバルの大詰めはテーマ作曲家イェルク・ヴィトマン(1973-)のオーケストラ作品、野平一郎によるフランス音楽回顧展、オーケストラ作品であった。(8月31日、9月1日 サントリーホール)
クラリネット奏者、指揮者でもあるヴィトマンはまず、ヴェーバー、クラリネット協奏曲、第1番、Op.73の吹き振り、自作のクラリネットのための幻想曲でクラリネット奏者としての手腕を見せた。ヴィトマンの弟子、ヤン・エスラ・クール(1988-)「アゲイン」は聴き応えある内容。ヴィトマンによる演奏会序曲「コン・ブリオ」は、コン・ブリオの本質を見事に表現した。妹カトリンのために作曲したヴァイオリン協奏曲、第2番は現代のヴァイオリン協奏曲では注目すべき作品だろう。素晴らしい内容であった。
20世紀から21世紀のフランス音楽史を辿った野平の企画は、ラヴェル「風景」、フィリップ・ユレル(1955-)「トゥール・ア・トゥールⅢ レ・レマナンス」、ピエール・ブーレーズ「プリ・スロン・プリ マラルメの肖像」を取り上げた。ラヴェルのものはブーレーズの編曲とは言え、あっという間の作品である。ユレルのものは神秘的な作品。ブーレーズは、ヴェルレーヌへの追悼を兼ねたマラルメの詩によるもので、浜田理恵の独唱も素晴らしい。指揮のピエール・アンドレ=ヴァラドもなかなかの手腕であった。
2019年のサマーフェスティバルが楽しみである。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:50)
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