歌舞伎座9月公演、秀山祭、昼の部は「金閣寺」、「鬼揃紅葉狩」、「天衣粉上野初花 河内山」の3本であった。
「金閣寺」は、室町幕府13代将軍、足利義輝を殺害した松永大善を尾上松緑が見事に演じた。狩野之介直信の妻、雪姫。中村児太郎の素晴らしい演技が光る。NHK大河ドラマ「西郷どん」では孝明天皇を演じ、新境地も開いた。進境著しい姿をうかがわせるものがあった。中村梅玉の真柴筑前守久吉(豊臣秀吉)、坂東弥十郎の佐藤虎之助正清が華を添えた。最大の見どころは5年ぶりの舞台復帰となった中村福助の慶寿院だろう。その姿には多くの観客の拍手が巻き起こった。歌右衛門襲名が実現してほしい。
「鬼揃紅葉狩」は中村錦之助、松本幸四郎の共演が見もの。戸隠山の紅葉を堪能、山を下ろうとする平維茂と従者の前に現れた更科の前と侍女たち。紅葉を眺め、宴に誘われ、舞に見入るうちに寝入っていく。その正体は戸隠山の鬼女だった。艶やかさと恐ろしさ。それが見事に描かれていた。
「天衣粉上野初花 河内山」は中村吉右衛門の素晴らしい話術が観客を惹き付けた。中村魁春、中村歌六の話芸もさることながら、中村歌昇、中村又五郎の話芸が見せ所となった。松本幸四郎もこれに応じ、見せ所一杯の舞台となった。最後の「馬鹿め」が一層重みあるものとなった。
何よりも、5年ぶりに舞台復帰した中村福助の歌右衛門襲名実現に期待しよう。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:50)
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