ヴィルヘルム・ケンプ、ヘンリック・シェリング、ピエール・フルニエによるベートーヴェン、ピアノ3重奏曲、第1番、Op.1-1。ベートーヴェン生誕200年記念とはいえ、250年記念の今、聴いても色あせていない。
ピアノ中心とはいえ、ヴァイオリン、チェロの独立した動きが出て来るとはいえ、まだ、完全に独立しているとは言えない。全体に若きベートーヴェンの野心が満ちている。
第1楽章の闊達さ、チェロが独立した動きを見せている。これまでの低弦を支えるだけではなく、主題動機の発展に寄与している。ヴァイオリンの動きも目立つ。第2楽章ではたっぷりした歌が聴こえる。ベートーヴェン特有の心から歌い上げていく歌心に溢れている。第3楽章。スケルツォは変ロ長調かと思えば、主調の変ホ長調に落ち着く。ベートーヴェンならではの巧妙な書法である。トリオのたっぷりした歌も聴きものである。コーダも余韻たっぷりである。第4楽章。闊達さの中にヴァイオリン、チェロが独立した動きを見せても、まだ、十分とは言えない。推進力も十分。
ヴィーンにやって来たベートーヴェンが作曲家としてデビューした記念碑として、3曲のピアノ3重奏曲をOp.1として世に送り出した。その第1曲から、ベートーヴェンの個性が見え隠れしていることは重要だろう。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:49)
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