上野学園大学が2021年度の学生募集を行わず、閉鎖することとなった。ここ最近、学生が定員割れしていたこともあって、経営が立ち行かなくなったことが原因という。
上野学園には、田部京子・横山幸雄など、一線の演奏家が看板教授となっていた上、ヴァン・クライバーンコンクールで優勝した辻井伸行を輩出した。しかし、創業者の石橋一族による学園運営の失敗から、教授陣・学生たちが「新しい上野学園を作る会」を立ち上げ、そのあおりで横山幸雄が教授の座を追われることとなった。これが上野学園の経営にも打撃を与えた。
日本の音楽大学が首都圏、京阪神に集中していることが大問題である。首都圏を見ると、国立音楽大学・武蔵野音楽大学・桐朋学園大学・日本大学芸術学部・玉川大学・桜美林大学・東京音楽大学・東邦音楽大学・洗足学園音楽大学・昭和音楽大学、計11大学が林立している。これでは、学生の奪い合いになってしまうし、音楽教室などに受験生斡旋を依頼するようになっている。
一方、地方の音楽大学も自力をつけている。北海道の札幌大谷大学、宮城県の宮城学院女子大学、岡山県のくらしき作陽大学、広島県のエリザベト音楽大学、熊本県の平成音楽大学、鹿児島県の迫水女子大学などがある。そろそろ、音楽大学の一極集中も是正する時期に来たようである。
上野学園の事例を機に、首都圏の音楽大学も地方移転を考え、地方の音楽文化興隆に貢献することを考える時期に来たように思える。地方移転を考える大学も出て来てもいい時期だろう。
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小川輝彦 (金曜日, 24 7月 2020 05:43)
現況コロナ下、芸術文化も行政と同じく東京一極集中の弊害が現れていると思います。少子化問題と合わせ今後いかに克服していけるか、大きな課題であると思料します。
畑山千恵子 (金曜日, 24 7月 2020 06:39)
一極集中も見直す時期に来ましたね。
Kay Ohtsuka (金曜日, 24 7月 2020 12:28)
バイオリンをはじめとして、ホンモノのプロフェッショナルを目指す人は、音楽大学に進まなくなっていると聞きます。
アンサンブルは、小中学生など、早い時期に耳をトレーニングされないと、身についてこないと思います。
音楽を学ばせるなら、大学という形態よりも、イタリアやフランスの教え方に近づけていった方が良いと思います。
時代に合わせた、人の育成が一番大事なのではないかと思います。
寂しいですけれど、一つの転換点でもあると思います。
畑山千恵子 (金曜日, 24 7月 2020 15:56)
これも一理ありですね。