2020年のサントリーホール サマーフェスティバルは、イザベル・ムンドリーが新型コロナウィルスのため来日不能となったものの、一柳慧による2020東京アヴァンギャルド宣言、芥川作曲賞線香演奏会のみとなったものの、聴き応えある内容だった。
高橋悠司「鳥も使いか」「オルフィカ」、山根明季子「アーケード」、山本和智「ヴァーチャリティの平原」第2部、3.浮びの二重螺旋木柱列。この4曲によるプログラムだった。(26日 サントリーホール)
「鳥も使いか」は琵琶弾き語りに霊感を得て、オーケストラと三味線の弾き語りによる。日本の伝統音楽と西洋のオーケストラが見事に融合、武満徹「ノーヴェンバー・ステップ」に匹敵する作品としても注目すべきだろう。
山根は芥川賞作家を受賞した大阪の女性作曲家。まちの商店街の活気に満ちた様子をオーケストラで描き出した作品で、マーラー、交響曲第1番「巨人」を思わせる。日常生活の一コマを描き出そうとした試みを買う。
山本作品はマリンバ、インドネシア、バリ島のガムラン音楽を融合した作品。マリンバの響きとガムランの響きが対立、かつ調和しながら一つの空間を形成していた。
「オルフィカ」はヴェーベルン様式を基にした神秘的な作品。作曲家としての高橋の面目躍如だった。最初と最後に高橋作品、中堅作曲家の山根・山本をはさんだプログラム構成が成功したと言えよう。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:49)
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