読売日本交響楽団 第230回 土曜・日曜マチネーシリーズはクリエーティヴ・パートナーとなった鈴木優人がベートーヴェン生誕250年記念に合わせ、ヴァイオリン協奏曲、Op.61、交響曲第6番、Op.68「田園」によるプログラムで素晴らしい名演を聴かせた。(13日 東京芸術劇場)ヴァイオリンは若手のホープ、郷古廉で、これも素晴らしい名演だった。
ヴァイオリン協奏曲では、第1楽章の抒情味たっぷりでもベートーヴェン特有のスケールの大きさを兼ね備えた音楽をたっぷり味わうことができた。カデンツァでは低弦、ティンパニを織り交ぜたものを用いつつも、全体の流れが一貫していた。第2楽章の深み溢れる変奏も内面から湧き上がる音楽が素晴らしい。第3楽章もスケールの大きさ、抒情味たっぷりの音楽を展開した。
交響曲第6番「田園」は、ベートーヴェンの自然への思い、小川の情景、村人たちの祭りと嵐、嵐が過ぎ去った後の感謝と祭りがたっぷりと描かれていた。ヴィーンの自然をこよなく愛したベートーヴェンの思いを伝える名演だった。
ベート―ヴェンでも素晴らしい名演を聴かせた鈴木優人には、20日、バッハ・コレギウム・ジャパンとのバッハ、ミサ曲、ロ短調をはじめ、10月6日、メシアン「峡谷から星たちへ」、11月3日、ヘンデル「リナルド」と注目のコンサートが続く。音楽家として本格的な歩みを続ける鈴木優人の活躍には注目したい。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:49)
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