ショパン連続演奏会、ベートーヴェンを中心としたベートーヴェン・プラスによるコンサートシリーズを続けて来た横山幸雄が、ベートーヴェン生誕250年記念として、2日間でピアノソナタ全曲演奏会を行った。(5日、6日 東京文化会館)
5日はOp.49の2曲を含み、Op.2からOp.31まで、ベートーヴェンがヴィーンにやって来てから、ソナタでの新しい試みを行い、新境地を開いていった全18曲、6日はOp.53「ヴァルトシュタイン」、Op.57「熱情」、Op.78「テレーゼ」、Op.81a「告別」、Op.106「ハンマークラヴィーア」から、最後の3つのソナタに至る全14曲を2日間で演奏した。
ベートーヴェン、ピアノソナタ全曲演奏会の場合、1回あたり4曲ずつ、日を分けて行うことが通例である。それを2日間で行ったことに、新型コロナウィルスでコンサートなどが延期・中止になった今だからこそできることがあるという、横山の意図が明確に読み取れた。
全体を俯瞰すると、ほころびが生じたことも見受けられた。しかし、横山がベートーヴェン・ショパンが自己のレパートリーの中心であることへの思いが読み取れ、また、演奏家としての円熟味も感じられた。
上野学園大学教授であった際、上野学園の経営問題での改革運動を試みて、教授の座を追われた悲運に見まわれたとはいえ、名古屋芸術大学・エリザベト音楽大学でも教鞭を取り、後進の育成に当たる姿は見事である。多彩な活動ぶりが注目を集めている。今後の活躍にも期待する。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:48)
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