新型コロナウィルスの中、NHKニューイヤーオペラコンサートも第64回を無事に迎えた。今回は時世を象徴して「夢と希望」をテーマにベートーヴェン、交響曲第9番、Op.125、第4楽章の抜粋、ベッリーニ、ヴェルディ、プッチーニを中心としたイタリア・オペラの名曲、ヴァーグナーを中心としたプログラムとなった。(3日 NHKホール)
2000年以来NHKホールに来場して21年、世代を代表するオペラ歌手たちの歌を聴きながら、日本のオペラ界、歌手の層が充実してきたことを実感した。歌手陣の世代交代も肌で感じ取ることが出来た。今回の歌手陣を見ると、二期会・藤原歌劇団の比率がほぼ半数であった。出演した歌手たちにとって、新型コロナウィルスで舞台に立てなくなったり、教職もままならなかったりして大変だっただろう。そんな中、このコンサートで音楽の力、歌の力を再認識した。
歌手陣では、福井敬・村上敏明・望月哲也・妻屋秀和・森麻季・大村博美・幸田浩子・砂川涼子・林美智子といった、日本オペラ界をけん引する歌手たちが素晴らしい名演を聴かせた。また、新進の宮里直樹・伊藤晴をはじめ、油が乗って来た中村恵理・森谷真理・笛田博昭・上江隼人たちの歌唱にも聴かせる力があった。何よりも、広上淳一が東京フィルハーモニー交響楽団から渾身の響きを導き、歌手たちをしっかり支えたこと、新国立劇場合唱団・二期会合唱団・藤原歌劇団合唱部の見事な響きが彩を添えた。最後はヨハン・シュトラウス2世「こうもり」から「ぶどう酒の燃える流れに」で締めくくりとなった。
今年のオペラ界が新型コロナウィルスを乗り越え、どのような発展を見せるかに期待しよう。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:48)
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