アンジェラ・ヒューイットによるバッハ、クラヴィーア協奏曲全集。ブランデンブルク協奏曲、第5番はクラヴィーア、ヴァイオリン、フルートのためというより、クラヴィーア協奏曲ではなかろうか。それを裏書きする演奏である。リチャード・トグネッテイのヴァイオリン、アリソン・ミッチェルのフルートが加わる。
第1楽章。推進力の素晴らしさ、バッハの音楽の深さも加わり、現代のピアノでも十分に演奏可能であることをヒューイットが示したと言えよう。カデンツァの迫力、重量感が見事。第2楽章。トグネッティ、ミッチェルの絡み合いが素晴らしい。ヒューイットが加わり、ピアノ、ヴァイオリン、フルートの3重奏になっている。歌心も十分で聴き応えがある。第3楽章。ヴァイオリン、フルート、ピアノによるフーガとなって、素晴らしい世界を生み出している。ヒューイットのような優れたバッハ演奏家がピアノでもこれだけの演奏ができることを示したものだと言えようか。
3重協奏曲。第1楽章。イ短調の重々しさがのしかかってくるとはいえ、ヒューイットのピアノ、トグネッティのヴァイオリン、ミッチェルのフルートも聴き応え十分。流動感も十分。第2楽章。ほのぼのとした雰囲気が漂い、ヴィヴァルディ「四季」、冬の第2楽章を思わせる。ヴァイオリンのピツィカートも聴きものである。第3楽章。フーガとなり、重々しい気分となる。一気に聴かせる。
ヒューイットのバッハ、クラヴィーア協奏曲はぜひ、一聴していただきたい。
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篠岡恒悦 (水曜日, 19 5月 2021 08:16)
16世紀の作曲家 Pierre Attaingnantは「ピエール・アテニャン」が一般的で「アテグニャン」とはしないのと同様,オーストラリアのヴァイオリン奏者 Richard Tognettiはリチャード・トグネッティではなく,「トネッティ(トニェッティ)」とするのが順当です。
畑山千恵子 (木曜日, 20 5月 2021 21:11)
ありがとうございました。