吉田裕史 マスカーニ カヴァレリア・ルスティカーナ 間奏曲

 イタリア、ボローニャで活躍する吉田裕史がボローニャ歌劇場フィルハーモニーとのコンサートでピエトロ・マスカーニ(1862-1945)のオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲。マスカーニがルッジェーロ・レオンカヴァッロ(1857-1919)「道化師」と共に、イタリアでのヴァグネリズムへのアンチテーゼとして打ち出したヴェリズモ・オペラ(超現実主義)の名作である。

 村の若者トリッドゥが軍隊から戻ると、かつての恋人ローラは馬車屋アルフィオと結婚、村娘サントッツァを新しい恋人として迎えた。それでも、ローラを忘れられず、アルフィオとの決闘で命を落とす。復活祭の静けさと喜びの中、悲劇が潜むオペラの間奏曲として、重みがある。

 吉田は復活祭の喜び・静けさに潜む悲劇の影を打ち出している。サントッツァのアリア「ママも知る通り」とは対照的とはいえ、悲劇の影も差す。そんな重みを見事に引き出した演奏として評価したい。