ゲルハルト・オピッツと共にドイツ・ピアノ界を代表する大御所、ペーター・レーゼル最後の来日リサイタルは、2007年、日本では30年ぶりとなった時のプログラムを再現したものとなった。(13日 紀尾井ホール)
ハイドン、ソナタ第52番、Hob.52のたっぷりした音色と歌心には深みが増していた。ベートーヴェン、ソナタ第32番、Op.111も2008年~2011年までのベートーヴェンツィクルス以上の深さが感じられた。さらに、シューベルト、ソナタ第21番、D.960には、一種の寂寥感が滲み出た、深味溢れる名演だった。
アンコールはシューベルト、即興曲、D.935-2、ベートーヴェン、6つのバガテルから第1曲、Op.126-1、ソナタ第10番、Op.14-2、第2楽章で締めくくった。
レーゼル自身、今年で76歳。もはや、飛行機での長旅もできなくなったことを考えると、これが日本では最後になるだろう。しかし、パウル・バドゥラ・スコダが90歳記念での来日公演が予定されていたことを思うとどうか。イタリアの名匠、アルド・チッコリーニも88歳での来日公演があった。また、メナヘム・プレスラーも100歳近くでも来日していた。今後を考えるとどうなるだろうか。
11月から12月、もう一人のドイツ・ピアノ界の大御所、オピッツがやって来て、リサイタル・室内楽・ベートーヴェン、ピアノ協奏曲全曲演奏会を行うので、楽しみである。これまで、春にはレーゼルが来日、秋冬にはオピッツが来日、共にドイツ音楽の心髄を日本の聴衆たちに伝え、一種の風物詩となって来た。それがなくなることは寂しいとはいえ、ドイツ・ピアノ界ではミヒャエル・コルシュティクなどの来日を期待している。今のドイツ・ピアノ界で注目されているピアニストたちをどんどん日本に紹介してほしい。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:46)
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:48)
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