ヴィルヘルム・バックハウスの貴重な遺産、ベートーヴェン、ピアノ協奏曲、第1番、Op.15。ハンス・シュミット=イッセルシュテット、ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団との共演である。
第1楽章。若きベートーヴェンの覇気溢れる第1主題、変ホ長調で提示される第2主題が堂々と流れる。イッセルシュテットの素晴らしい指揮ぶりが窺える。バックハウスの見事なピアノが入り、調和のとれた世界を描き出す。ベートーヴェンはヴィルトゥオーソ・ピアニストとして頭角を現し、作曲家としても充実しつつあった一方、耳の病が本格化する。そのような面を感じさせない。バックハウスが愛用したヴィーンの名器、ベーゼンドルファーの響きも美しい。若きベートーヴェンの姿がある。
第2楽章。変イ長調のロマンティックな歌が素晴らしい。ピアノ、オーケストラが一体化した世界がある。バックハウス、イッセルシュテットの歌心溢れる、深々とした演奏が聴きものだろう。ベーゼンドルファーの魅力が味わえる。
第3楽章。若きベートーヴェンの覇気に満ちたロンド・フィナーレである。ピアノによるロンド主題に始まる。ユーモアに満ちた、力強さを備えている。バックハウスの音楽の自然な流れ。これ見よがしではない。冷たさの奥に温かさを秘めている。音も際立っている。オーケストラもピアノと互角に音楽を進める。
宇野功労はバックハウスの音楽が表面的には冷たいが、温かみを秘めたものだったことを見抜いている。ピアノにおけるベートーヴェン演奏ではバックハウスを第一に推したことも頷けるだろう。
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仲野 栄樹 (火曜日, 15 2月 2022 18:47)
名盤中の名盤でしょう?
畑山千恵子 (火曜日, 15 2月 2022 19:16)
そうです。
admin (木曜日, 21 4月 2022 05:46)
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admin (木曜日, 21 4月 2022)
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