ヴィルヘルム・バックハウス、ベートーヴェン、ピアノ協奏曲も第5番「皇帝」となった。ライヴでは1954年来日時、上田昭指揮、東京交響楽団との共演、アンコールにショパン、練習曲、Op.25-1「エオリアン・ハープ」が入っているため、聴きものである。また、1960年、東ドイツに入った故郷ライプツィッヒではフランツ・コンヴィチュニー、ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との共演で、この協奏曲のライプツィッヒ初演を思わせるものとなっている。ハンス・クナッパーツブッシュ、サー・ゲオルク・ショルティなどとの共演が残っている。ヴィルヘルム・フルトヴェングラーとの共演もある。これは残っているだろうか。
第1楽章。ピアノの華麗なカデンツァが素晴らしい。バックハウスはこれ見よがしではなく、音楽に集中している。ハンス・シュミット・イッセルシュテットが見事に応じている。ベートーヴェンはこの作品の前、ヴァイオリン協奏曲をピアノ協奏曲に編曲したおり、ピアノとオーケストラとの融合を重視した。それが第5番に至り、ピアノとオーケストラとの交響曲として結実したといえよう。どちらも対等になっている。ブラームスがベートーヴェンの協奏曲を手本として、2曲の素晴らしいピアノ協奏曲を書き上げたことを裏付けている。協奏曲主部に入っても、両者が対等になっている。
第2楽章。変奏曲、オーケストラが主題を提示する。ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団の弦の響きが見事。ピアノが入ってくると、深みが増す。イッセルシュテット、バックハウスが歌心たっぷりに味わい深く進めて行く。ベーゼンドルファーの響きが素晴らしい。バックハウスはライプツィッヒ生まれで、ブリュートナーの響きにも慣れていたかもしれない。ベーゼンドルファーを好んだとはいえ、ブリュートナーはどうだったか。第3楽章の主題を予告しつつ、切れ目なしに入っていく。
第3楽章。ピアノのどっしりとした重厚さ。ここぞといっても、バックハウスは音楽に集中する。イッセルシュテットも同じである。どちらも位負けしていない。ベートーヴェンの音楽がある。コーダでは、ピアノとティンパニとの掛け合いが聴きどころだろう。ヴァイオリン協奏曲のピアノ編曲版、カデンツァでピアノとティンパニとの掛け合いがある。ベートーヴェンが協奏曲に交響曲の重み・深みを与えようとした試みとして注目すべきだろう。ヴァイオリン協奏曲の編曲での試みがこの作品に活かされたというべきであり、交響曲の重み・深みを与えることになったとみてよいだろう。
バックハウスとフルトヴェングラーとの共演、録音が残っていたらCD化は当然としても、見つかったら一大センセーションになる可能性があるだろう。カラヤンとの共演も残っていたから、可能性があるだろう。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:46)
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:47)
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