マルタ・アルゲリッチがポーランド、首都ワルシャワでのショパン、ピアノ協奏曲、第1番、Op.11、ライヴ。ヤツェク・カスツェク、シンフォニア・ヴァルヴィゾとの共演。2010年8月27日、フィルハーモニーホール。ショパン生誕200年記念に相応しい。
第1楽章。アルゲリッチのピアノには歌心が満ちている。この時、69歳。これ見よがしではない。デュトワとの共演から15年後、深化したアルゲリッチの姿を見る。ショパンの世界が広がっている。ピアノの音色も心に響く美しさである。
カスツェクの指揮も素晴らしい。遅めのテンポでありながら、アルゲリッチを引き立てている。
第2楽章。ロマンス、オーケストラがじっくり歌い上げると、ピアノが入り、ショパンの心を歌う。アルゲリッチが深々と歌い上げていく。円熟したピアニストの味わい深さが加わり、音楽も深みが増している。カスツェクのサポートが光る。
第3楽章。アルゲリッチのピアノには歌心が息づき、かつての奔放さから音楽の核心に近づくものになっている。技巧にも音楽が加わり、一層深みが増している。ショパンの音楽が息づき、ポーランドの大地が見える。ショパンが少年期を過ごしたポーランドはドイツ、ロシアに国を分断され、独立への思いがたぎっていた。しかし、19世紀、独立を果たせず、1918年、第1次世界大戦後に独立を果たすも、ナチスに蹂躙、アウシュヴィッツに代表される負の遺産も残った。第2次世界大戦後、ドイツから領土を得て、今のような形になった。
今、ウクライナがロシアの侵攻にさらされている。そんな中でアルゲリッチのショパンを聴き、ウクライナが平和、日常生活を取り戻すことを切望する。
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:46)
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admin (木曜日, 21 4月 2022 05:47)
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