エストニアの指揮者、パーヴォ・ヤルヴィがドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンを指揮したベートーヴェン、交響曲、第5番、Op.67。朝、NHKラジオ「音楽の泉」では2006年のCD録音を取り上げた。これは、6年後の2012年、ブレーメンでのライヴ。
第1楽章の迫力、推進力が素晴らしい。これは聴きものである。第2楽章はテンポが速め。余裕がないように思える。20世紀を代表するヴィルヘルム・フルトヴェングラー、カール・ベーム、ヘルベルト・フォン・カラヤン、オットマール・スウィトナー、クルト・マズア、ヘルベルト・ブロムシュテットなどはじっくり、ゆとりをもって歌う。ヤルヴィの演奏もだんだん聴き進めていくと、じっくり歌うようになっていく。ベートーヴェン研究が進んだ今、ヤルヴィの解釈も一理あるだろう。第3楽章、迫力、推進力、歌心が調和している。元来、この楽章の形式はA-B-A-B-Aだったことが分かった。しかし、ヤルヴィは従来のA-B-Aを取っている。この辺は課題だろう。第4楽章、歓喜のフィナーレ。堂々とした、自信あふれる演奏である。
このヤルヴィの演奏を聴くと、オリジナル楽器の奏法研究も進み、ベートーヴェン時代の演奏形態の研究が進んだこと、ベートーヴェン生誕250年に際し、ヘンレ、ベーレンライターなどの新全集版が普及したことも相まって、かえってベートーヴェンの本質に迫る演奏が可能となったこともあるだろう。その意味でも貴重な演奏として評価したい。
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山岸英樹 (日曜日, 29 5月 2022 18:12)
この演奏はCDで持ってますが、fbで、自分のプロフィール写真に使わせてもらってます。