ロシア音楽を歌ってよいものか 岸本力の苦悩

 ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、ロシア音楽普及に努めて来た二期会、バス、岸本力が今、ロシア歌曲を歌ってよいものかと苦悩している。

 岸本は、ロシアのウクライナ侵攻以来、ウクライナの無残な現状・ロシア軍の残虐さなどを見るにつけ、ロシア歌曲を歌い続けてよいかと苦悩しつつ、声楽家・音楽家として模索している。岸本がロシア音楽普及の功績により、ロシア政府から表彰された経緯があっても、戦争の現実に苦悩する姿を見ると、戦争と音楽との関係を改めて私たちに突きつけた。

 ロシア音楽では、グリンカ・ムソルグスキー・チャイコフスキー・ラフマニノフなどが優れた歌曲を残した。戦争がロシア歌曲の名作を否定することはあってはならないとはいえ、今の情勢を見ると、ロシア音楽・ロシア歌曲を歌えるか、聴きたくないと言えるか。オーケストラのコンサートでも、チャイコフスキーなどがプログラムに上がっている。音楽家たちもジレンマの中にある。

 第2次世界大戦中、ドイツ占領下のフランスで、レジスタンスたちがドイツ兵の合唱には耳を背けることができなかったという。ロシアのウクライナ侵攻が長期化する今、私たちは音楽と戦争をどう考えたらよいだろうか。岸本の苦悩は、

私たちに音楽と戦争との関係を鋭く問いかけている。

 音楽と戦争。今こそ、私たちが真摯に考える時が来ている。

コメントをお書きください

コメント: 8
  • #1

    浩三 芝崎46303 (水曜日, 15 6月 2022 10:43)

    是非にもロシア音楽を取り上げて下さい!
    ロシアはプーチンのクソタレの国でありません!グリンカ、ムソルグスキ ーの国です。「本当のロシア」を知ってもらうため、もっと取り上げて下さい。

  • #2

    畑山千恵子 (水曜日, 15 6月 2022 10:48)

    私も同じです。「本当のロシア」を知らせることは大切です。

  • #3

    森 賢哉 (水曜日, 15 6月 2022)

    政治と芸術は別物。プーチンを讃える曲なら別であるが、プーチン登場の前から存在する音楽をなぜ否定しなければならないのか理解に苦しむ。

  • #4

    畑山千恵子 (水曜日, 15 6月 2022 12:45)

    これもわかりますね。「本当のロシア」を知らせたい人たちの気持ちがわかります。

  • #5

    トンちゃん (水曜日, 15 6月 2022 14:25)

    ロシア音楽、歌ったらよいと思います。あえて、今だから歌ってください。ロシア音楽好きです。
    人々の喜怒哀楽を表せるのは、音楽の強みですから。

  • #6

    畑山千恵子 (水曜日, 15 6月 2022 14:38)

    その通りでしょう。音楽こそ、全ての表現ができます。

  • #7

    k.S (木曜日, 16 6月 2022 13:51)

    1000年に及ぶとされるスラブ芸術は絶やすべきものではないと考えます。浩三芝浦さんの意見に賛同します。

  • #8

    畑山千恵子 (金曜日, 17 6月 2022 08:43)

    プーチン大統領は、ロシア文化・芸術に泥を塗ってしまいました。チャイコフスキーコンクールすら、国際コンクール組織から締め出されてしまいました。ウクライナでは、ヴラディーミル・ホロヴィッツコンクールもあります。ホロヴィッツコンクールもどうなるでしょうか。