調布国際音楽祭 2022 フェスティバルオーケストラ


 調布国際音楽祭 2022、フェステイバルオーケストラは、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームスといったドイツ、ロマン主義の名作を集めたプログラムであった。(25日 調布グリーンホール)

 鈴木雅明はバッハ演奏のみならず、若手音楽家たちの育成にも当たっている。フェスティバルオーケストラを編成、オーケストラの名作を体験することによって、音楽家としての基礎力を高め、かつ知識を広め、経験させることを重んじ、この企画を続けている。ドイツ、ロマン主義の名作によるプログラムを組み、経験させたことは大きいだろう。

 メンデルスゾーン、序曲「フィンガルの洞窟(へブリティーズ)」、Op.26。北海の荒波、厳しい北風といった自然の情感が伝わって来た。

 河村尚子をソリストに迎えたシューマン、ピアノ協奏曲、Op.54。情感たっぷりの河村のピアノが素晴らしい。また、オーケストラも一体化した名演だった。

 ブラームス、交響曲第1番、Op.68。昨年、鈴木によるNHK交響楽団、定期演奏会でのシューマン、交響曲第1番、Op.38「春」が名演で、ブラームスも聴きたいと願っていたため、実現した。ブラームスの「生みの苦しみ」を実感しつつも、第4楽章、序奏部でのブラームスの喜びの声が見事に伝わって来た。ブラームスの思いが会場を満たしていた。

 河村がアンコールで演奏したシューマン=リスト「献呈」。これもシューマンのロマンの香りを伝えたものであったことも付け加えておこう。