ヴィルヘルム・バックハウスと共に「2人のヴィルヘルム」と称された、20世紀ドイツの名匠、ヴィルヘルム・ケンプのショパン、舟歌、Op.60。
深みのある美しい、明晰な音色。じっくり歌い上げていく。ノン・レガートも用いているとはいえ、ショパンの歌心にも反応している。ケンプが1972年に来日した際、ショパン、リストによるプログラムを行ったという。既に、クラシックの道をまっしぐらに突き進んでいった時期で、ケンプの来日コンサートにも行きたくなった。母にも止められ、我慢したと言っても、NHKラジオ、FM放送でもケンプの来日公演を放送したから、聴きまくった。11時代、NHK-FMでの放送を聴きながら寝てしまったことすらあった。
この頃、NHKのみならず、民放のFM放送でもクラシック音楽番組を放送、テレビでもクラシック音楽番組がいっぱいあったから、こちらも見ていた。1970年代、テレビ・ラジオではクラシック音楽番組全盛期だった。こういう時期に、色々な音楽に触れられたことは大きかった。
この演奏も聴き応え十分。美しい中にも、ショパンの悲しみ、寂しさも伝わった。ジョルジュ・サンドとの関係が破局を迎える中、ショパンの孤独が伝わる。その意味でも名演の一つだろう。
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能美紀子 (土曜日, 03 9月 2022 23:26)
本当にケンプは素晴らしいですね!ケンプは大好きです。舟歌素敵ですございますね。