アルトゥール・ルービンシュタインによるショパン、舟歌、Op.60。ショパン演奏の王道たる演奏。ゆったり目のテンポ、深い歌心。
ショパンとサンドとの関係がサンドの2人の子ども、モーリスとソランジュが原因で崩れ去った。モーリスがショパンを敵視すれば、ソランジュがショパンにくっつく。ショパンについたソランジュの結婚問題が原因で、関係も破綻した。
サンドはショパンを攻撃する一方、ショパンはこれに耐えた。
ルービンシュタインがゆったり目のテンポでじっくりと、深い歌心を湛えつつ、心身共に疲れ果てたショパンの心を歌い上げていく。ヴェネツィアのゴンドラの恋人たちの語らいが幻のように浮かびつつも、あの思い出はどこに行った、幸せな時はどこへ行ったかと回想しつつ、今はどうなったか。そんなショパンの声が聴こえる。
ショパンと言えばルービンシュタイン、ポーランドに生まれ、ユダヤ系だったため、親族をナチス・ドイツに奪われ、ドイツへの憎しみも深かった。ベートーヴェンなどにも名演があっても、ポーランドに生まれたルービンシュタインは、ショパン演奏の模範たる名演を残した。コンサート・ライヴとはいえ、ショパン演奏の王道たる名演である。
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