ショパン演奏の王道、アルトゥール・ルービンシュタイン、ショパン、スケルツォ、第2番、Op.31。アルフレッド・コルトー、ヴラディーミル・ホロヴィッツ、ディヌ・リパッティ、サンソン・フランソワのショパンも素晴らしい。ルービンシュタインのショパンは、ポーランドの大地が匂ってくる。ショパンと一体化している。
技巧をひけらかさず、ショパンの音楽の本質を伝え、ショパンと共にいる。それは、アダム・ハラシェヴィチ、クリスティアン・ツィメルマン、クシシュトフ・ヤヴォンスキといったポーランドのピアニストたちにも共通する。ポーランドは東ヨーロッパの大国だったとはいえ、ヤゲヴォ朝断絶後、選挙王政を敷き、世襲王朝が生まれてこなかった。それが、他の大国の干渉、領土野心を招く。ことにプロイセン、ロシアがポーランドを狙っていたことが窺える。
プロイセン、オーストリア、ロシアに国土を分割され、1世紀あまりにわたり、その支配下にあった。1918年独立しても、ナチス・ドイツの侵略を受けた。1945年、国土解放、ドイツからポンメルンの東半分、東プロイセン南部、シュレージエンを獲得、それまで住んでいたドイツ人たちを追放した。
そんな中、ポーランドのピアニストたちはショパンの音楽を心から愛し、大切にしてきた。それがルービンシュタインをはじめとするポーランドのピアニストたちの系譜になっている。
素晴らしい歌心、音色、深さ。それらが見事に一体化して、ショパンの音楽を形成する。ルービンシュタインのショパンがショパン演奏の王道と言われることは頷ける。
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