マリア・ジョアン・ピレシュ、モーツァルト、ピアノ協奏曲、第9番、K.271「ジュノーム」。山田和樹、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団との共演である。
ブザンソン国際指揮者コンクール優勝後、フランス、スイス、モナコで活躍、読売日本交響楽団、バーミンガム市交響楽団へと順調な活躍を続ける山田とピレシュとの共演、ピレシュが引退する4年前の2014年のライヴである。
第1楽章。ピアノとオーケストラとの掛け合いの見事さ。ピレシュの清純なピアノの響き、山田がピレシュに寄り添い、見事にオーケストラをまとめている。第2楽章での素晴らしい歌の世界。オーケストラ、ピアノが一体化している。心に響く歌とはこのようなものかと思わせる。第3楽章のロンド、ピレシュが素晴らしいピアノを聴かせる。これ見よがしではなく、音楽に満ち溢れている。中間部のメヌエットのじっくり聴かせる歌。深みのある音色。ピレシュの円熟した芸術を味わえる。オーケストラの響きも透明感溢れる響きである。
この作品では、冒頭からピアノとオーケストラとの掛け合いに始まる。これが、ベートーヴェン、ピアノ協奏曲、第
4番、Op.58、第5番、Op.73「皇帝」へと発展、ピアノの発展と相まって、素晴らしい効果を見せる。
2018年末に引退宣言したピレシュが、11月来日、サントリーホールでリサイタルを開く。もしかしたら、これが最後になるかもしれない。
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