マリア・ジョアン・ピレシュ モーツァルト ピアノ協奏曲 第17番 K.453

 マリア・ジョアン・ピレシュ、モーツァルト、ピアノ協奏曲、第17番、K.453。ヘルベルト・ブロムシュテット、NHK交響楽団との共演。1992年、今から30年前の演奏である。

 ブロムシュテットが透明感ある音色でNHK交響楽団をまとめ上げている。第1楽章から聴くと、ピレシュの透明感あるピアノが素晴らしい。モーツァルトの歌心たっぷりに弾き進む。喜悦感、透明感溢れる響きが絶品である。決して、これ見よがしではない。カデンツァでもたっぷりの歌心で聴かせる。第2楽章では、ブロムシュテットが歌心たっぷりにオーケストラを響かせる。ピレシュのピアノも深々とした音色でたっぷり歌い上げる。この楽章もカデンツァがあり、歌心たっぷりに聴かせていく。第3楽章、変奏曲。オーケストラによる主題提示に始まる。ブロムシュテットの音作りが見事。ピレシュが歌心たっぷりに弾き進める。オーケストラとの掛け合いも絶妙。プレストのコーダの闊達さ、ピアノとの掛け合いも密接になっていく。見事な締めくくり。名演である。

 ピレシュが2018年末での引退宣言の際、ブロムシュテットとベートーヴェン、ピアノ協奏曲、第4番、Op.58を共演している。この時のリサイタルは忘れられなかった。11月、リサイタルを開くという。これが最後だろう。