モーツァルト演奏で定評があったクララ・ハスキルによるモーツァルト、ピアノ協奏曲、第27番、K.595。ルーマニア、ブカレストに生まれ、ヴィーンでリヒャルト・ローベルト、パリでアルフレット・コルトー、ラザール・レヴィに師事、フランスを拠点に活動、ユダヤ系だったため、第2次世界大戦ではスイスに移った。その際、ヴィルヘルム・バックハウスとも親交を結んでいる。1960年、ベルギーの首都ブリッュセルで、アルテュール・グリュミオーとの共演の前日、駅でのケガがもとで亡くなった。スイスは、ハスキルの功績を称え、クララ・ハスキル国際コンクールを開催している。
フェレンツ・フリッチャイ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との共演で、フリッチャイも白血病のため、48歳で早世している。フリッチャイもハスキルのピアノと共に、最晩年のモーツァルトの音楽の透明さを見事に表現している。
第1楽章から聴き進めて行くと、歌心を大切にしながら、モーツァルト最晩年の透明感・寂寥感を見事に表現している。華やかさの中にふと現れる寂寥感・孤独。それが自然とにじみ出ている。第2楽章の淡々と歌われる歌にも、モーツァルト最晩年の思いに溢れている。フリッチャイもハスキルに寄り添いつつ、モーツァルトの音楽を奏でている。第3楽章は、歌曲「春への憧れ」K.596に使われたロンド主題を自然、かつ淡々と歌う。喜びの影の寂寥感・孤独が聴こえる。
それでも、音楽は明るく、透明感溢れるものになっている。
ハスキル、フリッチャイのとの出会いが生んだ名演として聴き継がれるだろう。
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ATOM (月曜日, 26 12月 2022 10:06)
ハスキル&フリッチャイのモーツァルト27番、初めて聴きました。
素晴らしい、感動しました。
畑山千恵子 (月曜日, 26 12月 2022 19:34)
私もこの演奏に接し、素晴らしさに感動いたしました。白血病で夭折したフリッチャイ、グリュミオーとの共演前日、事故死したハスキルとの共演、素晴らしいものでした。