アンドラーシュ・シフ モーツァルト ピアノ協奏曲 第20番 K.466

 アンドラーシュ・シフがフィンランド放送交響楽団を弾き振りしたモーツァルト ピアノ協奏曲 第20番 K.466。2016年、ヘルシンキでのライヴ。

 第1楽章。シフが立って、オーケストラを指揮した後、ピアノに入っていく。モーツァルトの繊細さを保ちつつ、ドラマトゥルギーの表出も見事である。また、歌心も十分である。再現部に入っても、オーケストラににらみを利かせる。カデンツァはベートーヴェンのものを用いている。最も、ベートーヴェンがこの作品を愛奏していたことによる。第2楽章。シフの歌心溢れるピアノが聴きものである。オーケストラもたっぷり歌わせている。中間部の激しい部分でも、モーツァルトの音楽の透明さを保ちながら、オーケストラとの掛け合い、調和が見事である。第3楽章。シフがピアノを弾き終わると、立って指揮を取る。激しくあっても、節度を保っている。モーツァルトに相応しい。カデンツァは自作だろうか。第1楽章の音型を取り入れつつ、第3楽章の旋律も取り入れている。コーダの解放感が素晴らしい。

 円熟したシフの素晴らしい弾き振りを堪能したひと時だった。