カルロス・クライバーがバイエルン国立管弦楽団と共に来日した1986年、ベート―ヴェン 交響曲第7番、Op.92。東京文化会館で聴いた時の凄みは忘れられない。出てくる前から、「ブラボー」が凄かった。これは、昭和女子大学 人見記念講堂での演奏である。人見記念講堂は一頃、コンサート会場としても利用されたものの、最近はない。サントリーホール、オーチャードホール、東京芸術劇場、すみだトリフォニーホール、東京オペラシティコンサートホールなどがオープンしたこともある。
第1楽章の序奏から主部、凄まじい勢いが感じられる。ベートーヴェンが描いたデュオニュソスの祭りが目に見える。コーダのオスティナートの迫力も見事である。第2楽章の暗い響き、それが少しずつ盛り上がり、大きな世界を作り出す。中間部の安らぎに満ちた響きも聴きものである。歌心たっぷりである。主部の再現、フルートがたっぷり歌い上げると同時に、フーガが始まり、盛り上がっていく。中間部の再現。クラリネットがたっぷり歌う。主部が締めくくる。第3楽章の迫力。中間部に聴こえるオーストリアの巡礼歌との対比がくっきりする。第4楽章。デュオニュソス祭のクライマックスとなる。オーケストラからベートーヴェンの音楽を見事に引き出している。コーダの盛り上がりが凄まじいし、迫力も素晴らしい。名演である。
ライヴCDは、1982年、カール・ベーム追悼コンサートのものがある。これも見事である。東京での演奏も凄まじかったし、帰路に就いた時、クライバーの素晴らしさに夢中だったことを思い出した。
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芝崎浩三 (火曜日, 28 3月 2023 15:53)
ベートーヴェンの七番と云えば、フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団よ。あれ以上のレコード、聞いたことがない。ライナーは生まれはハンガリー、勉強したのがウィーン。リスト・フレンツェ音楽院でバルトークに、ウィーンではR・シュトラウスに学んだ。アメリカに渡ってから中々いいオーケストラに当たらず、アメリカてメジャーオーケストラにあたったのは、このシカゴ交響楽団が最初で最期!